—3.滅茶苦茶な先生(その3)—

 この話は、私たちの実習を担当するA先生と言うやさしい先生の話です。

私達も3年生になり、卒業を控えた冬の事です。沖縄では、その時期にキビ狩りを行いますが、どこも人手不足で困っておりました。

その先生は、どの様な経過でキビ狩りを行わなければならなくなったか定かでは、ありませんが、その作業を行わなければならなくなった様です。

 そこで、目をつけたのが私たち教え子でした。

キビ狩りを希望する生徒、十数人を集め収穫作業を行う事になりました。

キビ狩りは、1本々のキビの葉を落とし鉈で根元から撃ち落とし、その後、一人で抱えられる本数を束ね、重いキビを道端まで何十回と運ぶ、結構きつい作業です。

ですから、キビ狩りが終わると手伝ってくれた人には料理や、お酒を提供して労うのが通常です。

 しかし、私たちは卒業前の学生ですので、まさかその様な労いは無いだろうとおもっておりましたが、そのまさかが起こりました。

先生は、空き家となった自分の実家に料理とお酒を準備しており、後は勝手にやりなさいと自分の家に帰ったのです。

 昼間の重労働から解放されたのか、それとも1日でキビ狩りを終わらせた達成感なのかわかりませんが、宴会は時間を追うごとに、盛り上がってきました。

その中の一人に普段は、休みの時間も勉強している、まじめなクラスメートがおりましたが、その生徒が突然、暴れだし手の負えない状況になってきました。

恐らく、初めて飲む酒で普段、ためていた鬱憤が爆発したかも知れません。

私は、その彼を抑える為に背後から羽交い絞めにしておりましたが、火事場のバカ力を発揮したのか私は裏庭に投げ飛ばされました。

その恰好は、野球のホームスチールのごとく手から滑り込む状況でした、しかし場所が悪かった。

その場所は、みんなが立ションをした所で、Tシャツがベトベトになり臭かったのを今でも覚えております。

あれだけ大騒ぎをしながらも近所の人から苦情が出なかったのは、先生が事前に何らかの手を打っていたのでしょう。

当時は、ご近所の方々に、ご迷惑を、お掛けてして申し訳ありませんでした。(もう、遅い)