—2.滅茶苦茶な先生(その2)—

 その先生は、電気理論の教師で私たちのクラスを1年生から3年生まで担当を行い2年生の時は、クラスの担任でした。

 しかし、その実態を見ると昼間は高校教師、夜はクラブのマスターと言う顔を持っていました。

その先生は、無類の酒好きで朝のホームルームや午前中の授業には殆ど顔を出すことが無く、たまに出てきても、酒の匂いをプンプンと発しながら授業を進めておりました。

先生が出てこない授業は自習の時間になるのですが、まじめに自習を行っている生徒は殆どおりません、逆に自由気ままに過ごせる時間を得た私たちにとっては、かえってその時間を楽しみにしておりました。

そうこうしながら、私たちも卒業が間近になってきましたが、流石にその先生も、まずいと思ったのでしょう。

その頃から、まじめに出勤するようになり、専門教科の時間になると1時限で教科書を20~30ページ進めると言う強硬策に出てきました。

因みに、この先生は横浜国立大を卒業しており、かなり優秀な先生でしたが授業を受ける生徒は、ボンクラばかりで、その猛スピードの授業についていける人はいなかったと思います。

 只、先生は最後の授業で、「どんな難しい電気理論も基本はオームの法則なので、それだけは覚えておきなさい」と言っておりました。

私は後々の仕事の中で、その言葉を実感する事が何度もありました。